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最高裁判所第一小法廷 昭和39年(オ)1442号 判決 1966年7月21日

主文

なし

理由

上告代理人青木貞雄、同辻仙二の上告理由第一点について。

原判決の認定したところによれば、訴外大黒高は上告人らから与えられていた訴外宮城第一信用金庫に対する連帯保証契約更新のための代理権を踰越して被上告人との間の原判示(一)、(二)、(三)および(五)の各連帯保証契約を締結したものであり、しかも訴外大黒は右権限踰越行為をなすに際し本人の実印を所持していたというのであつて、このように本人から実印の交付を受けて権限踰越の代理行為がなされた場合には、特別の事情のないかぎり民法一一〇条にいわゆる代理権ありと信ずべき正当の理由があるものと解すべきことは、当裁判所判例(昭和三三年(オ)第一一七号、同三五年一〇月一八日第三小法廷判決、民集一四巻一二号二七六四頁)とするところであり、原審は、上告人らの所論過失の主張につきその認定した事実関係のもとで右主張を排斥し、結局前記のような特別な事情はないものと判断していることが窺われるのであつて、右認定判断は、正当として是認するに足りるところである。論旨引用の各判例は事案を異にし、本件に適切でない。それ故、論旨は採るを得ない。

同第二点について。

論旨は、すべて、本件連帯保証契約における原判示表見代理の成否について原審が正当になした判断に対し、原審の認定しない事実をるる主張し、或いは独自の見解に立つて、その違法をいうにすぎない。それ故、論旨は採るを得ない。

〔関係金融機関〕振興相互銀行(被上告人)

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